佐々木大二郎は悩んでいた。
悩みは、彼が保有するTOEICの点数845点に由来する。
だが、その表情は決して苦悩に満ちているわけではない。
むしろ、口元に自然とこぼれる笑みを必死に抑えている節さえある。
(この記事は事実を基に作成していますが、PRであることと登場人物のプライバシー保護のため、内容には多少の脚色を加えてあります。どうぞご了承ください。)
こぼれ落ちんとする笑みを必死に抑えながらの苦悩とは、一体何なのか?
TOEIC 845点とは?それがまた、どうして悩みのタネなのか?
佐々木大二郎の過去は、厳しく辛いものだった。
だが彼は短期間で、見事にそれを克服した。
暗くてみじめな過去から脱却したのちに開ける、希望に満ち満ちた明るい未来。
何気ない一つの出会いで人生は劇的に変わることがある。
佐々木大二郎の小さいけれど、刮目すべき物語を紹介しよう。
TOEIC点数845点の重みと凄さを病院の面接で知る!
新千歳空港から羽田空港へ向かう飛行機の中で、佐々木大二郎はTOEICの点数845点の威力に改めて考えを巡らせていた。
彼は明日、都内にある大学病院で二度目の面接へ臨むため飛行機に搭乗したのだ。
最初の面接は二ヶ月前だった。面接後、わずか一週間で内定のメールをもらった。
しかし、札幌の日本人学校など、他にも内定をもらっている就職先がいくつかある。
だから大学病院から提示された給与をそのまま受け入れることをせず、上積み交渉をした。
ダメもとでの交渉だったから、提示された金額へプラス十万円を要求した。
その要求に対し、相手は二度目の面談を求めてきたのだ。
飛行機代は勿論のこと、三泊分のホテル代も病院が負担するので是非とも上京して欲しい。
二週間前に届いたメールには、そのように書かれていた。
こちらの要求通り十万円上乗せしてくれるか、数万円で妥協しろというのか、会ってみなければ分からない。
どちらにしろ、今回の面談で結論は出るだろう。
こちらの要求をそのまま呑んでくれたなら、その誠意を汲んで大学病院に決めなければならない。
大学病院といっても、佐々木大二郎は医者でも看護師でも医療事務員でもない。
病院調理師として応募したのだった。
大学は中退し、何度転職したか自分でも分からない
佐々木次郎はこれまで何度職業を変わったのか、自分でさえはっきりと分からない。
杉並区の都立高校を卒業し都内の私立大学へ進学して四年間在籍したものの、単位不足で中退してしまう。
携帯キャリアのコールセンターを皮切りに印刷工場、精肉工場、レストラン、居酒屋、ラーメン店などを転々とした。