かつて、田中角栄の娘である田中真紀子氏が森喜朗氏のことを、その名をもじって『シンキロウ』と揶揄した。
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」
今回のこの発言で東京オリンピック・パラリンピック組織委員長の座は、まさに『蜃気楼』のごとく消え去るのかと思われたが、意外にしぶとい。
森氏に反発して五輪開催に反対する人やボランティアをやめる人の勘違いとは?
それにしても森の爺さん、何故この時期にこの発言なのか、まるっきり理解できませんね。
オリンピックが1年延長されて、今年の開催もギリギリまで予測不能。
そんな緊張感漂う状況下で、あえて放つ言葉ではありません。
まあ、いつでも言ってはいけない言葉ではありますが。
女性はしゃべりすぎる、細かいことを突っつきすぎると言いたいのでしょうか?
昭和の爺さん丸出しですね。
昭和の日本はこんなことを言う人は当たり前にいました。
大ぴらに言う人ほど支持された時代で、下手すれば女性自らそのように言う時代でした。
昭和時代に流行った言葉『明治は遠くなりにけり』。
それがそのまま『昭和は遠くなりにけり』。
森さんの発言騒動を眺めていると、そう思わざるを得ません。
懐かしいですねえ、何でもかんでも右肩上がりで成長した、あの時代。
昭和のヒーローあの『フーテンの寅さん』も草葉の陰でこうおしゃっていますよ、きっと。
「それを言っちゃ、オシメエよ」
今年83歳でほぼ昭和を丸々生きた森喜朗さんは、まだ昭和の幻影を引きずり、現在の世界の潮流に溺れてしまったのではないでしょうか。
こんなこと言っちゃって、世界中から反発されますよ。
いやいや、反発では済まないでしょう。
このまま居座るとオリンピック・パラリンピック選手から、オリ・パラボイコットの声が出てくるかもしれません。
聖火ランナーを辞退する芸人、ボランティアへの参加を取りやめる人も出ているようです。
評論家の中にもオリンピック反対を宣言する人が現れました。
森さんの失言は責められて当然、非難されるのはごく当たり前です。
しかし、それでボランティアを辞める、五輪開催に反対、私はここはちょっと違うかなと思うのです。
2020東京オリンピックは森喜朗個人の物ではありません。
森のじいさんがいくら頑張っても、たった一人で開催できるはずもありません。
オリンピックは地球上のアスリートとの世界のスポーツファンのために開催されるべきなのです。
森喜朗氏を辞任に追い込むのは一向にかまいませんが、たった一人のおじいさんの発言でオリンピックを敵視するのは筋違いというものです。
聖火ランナーを辞めた芸人は別な発言が気に食わないと言って辞退したようですが、これとて森喜朗一人とオリンピックを天秤にかけて、森デブの存在が重かったが故の結論でしょう。
このような人々は森さんに負けたのですね。
森さんが組織委員長を辞めたら、ボランティアに復帰、オリンピック開催賛成に回るのでしょうか。
信念のない如何にもご都合主義に映ります。
もう一度言います、森個人のために東京リンピックは開催されるにあらず。
このことをもっと深く考えていただきたかった、彼らに声は届きませんでしょうけど。
そもそも、テレビを活躍の中心にしている評論家で、信用に足る方は少ないですね。
自分を売り込むためには何でも利用する人種。
有名になるためには昨日の発言を今日は忘れる、とぼける、無視するのが常道。
正岡子規の俳句
『紫陽花や 昨日のまこと 今日の嘘』
ごめんなさい、子規はもっと高度な次元で人の心を観察してこの句を詠んだと思います。
コメンテーターと一緒にされて怒っているかな?
日々変わゆく紫陽花の色。
子規はそこに人の心の変化を重ねたのでしょう。
一方、この森さんの失言壁は全く変わりませんねん。
現役の政治家時代から数々の失言を繰り返してきました。
今回はその中でも2000年4月の『天皇を中心としている神の国』発言と並ぶ迷言、失言ですね。
「この年だから最後のお務め。命がけでやらせていただきます」
組織委員長を引き受けるにあたって、そうおっしゃっていましたが、やはり日本のお爺さん。
世界の潮流や趨勢は全く頭になかったようです。
これで世界を相手のオリンピック組織委員長ですからね。
この人の就任にあたって反対する方もいました。
「このような大きな事業はもう、政治家がトップに立つ時代ではない。
もっと若くて、世界を知っているビジネスマンが適任だ」
このような危惧が不幸にも的中しました。
自民党の中にも似たようなことを言う議員もいたのですが、声は無視されました。
今やジェンダーと性的マイノリティーに関する公の発言は、危険物に触れる覚悟がいります。
慎重にも慎重を要します。
北朝鮮や中東諸国など世界中の人権抑圧、中国による香港への圧政、同じくウイグル人へのジュノサイトなど、見て見ぬふりのを決め込む人たちも、こと女性軽視、蔑視には俄然いきり立つのです。
テレビのワイドショーにコメンテーターと称して雁首を並べる輩など、まるで鬼の首でも取ったようにしばらくはこの話題で大騒ぎすることでしょう。
他人の失敗は自分が生きる飯のタネ。
森さんの発言は豪華な晩餐に与ったようなもの。
この人種は世界的に見ても、とても不思議ですね。
シンキロウ森さんより、はるかに不思議だと思います。
自分は何もやっていないのに、他人の失態は自分の手柄のように攻めまくり、罵倒する。
そして如何にも自分は正義の味方であるかのように振舞える、この厚顔無知。
まあ、それにしてもシンキロウさんの言葉には煉獄杏寿郎の母である瑠火さんも、寅さんと同じところから、少しばかりガッカリして聞いているのではないでしょうか。
「弱き人を助けることは強く生まれた者の責務です」
泣けてきますね、煉獄瑠火さんのこの言葉。
森のおじい様はSNSの地球上を巡るスピード感、反響の大きさには思いも及ばなかったことでしょう。
世界中を旅する友人や海外出張の多いビジネスマンが言っていましたね。
日本のIT関連は先進国から周回遅れだと。
これを機に日本の政治家や官僚が、IT先進国への意欲と感心を示してほしいものです。
そうなれば、森さんの失言も無駄にはならないのですが。
もっとも、ITとかSNSに関心を示しと言っても、蓮舫さんのような政治家ばかりだと困ります。
「これからはクラウドの時代。サーバーを増やす必要はない」
このような発言はすっかり忘れ、自分の失態は棚に上げて、他人の悪口ばかりアップするなんて、これまた政治家としては見苦しい。